カルト映画の巨匠が奏でるファンシーな追憶 - リアリティのダンス

カルト映画の帝王、生ける伝説、アレハンドロ・ホドロフスキーが84歳で公開したカラフルな映画。

作中、メタというよりは主人公に寄りそった狂言回し役として自身が現れるのだが、80代とは思えないほど精力的な様子に嬉しい驚きがあった。こんなぶっ飛んだジジイになりてえなぁ。

物語は、巨人の星にでてくる星一徹よりも理不尽な男道を我が子に強いる父親の男根主義とその敗北が描かれている。

独特の空間と演出、メロドラマとミュージカルの混合といった御大ならではの仕事がたっぷり堪能できる良作。

これまで通り奇形の皆さんも揃って登場し、風刺やブラックユーモアもふんだんに炸裂する。モザイクがないバージョンなので性器の露出や放尿、拷問もノーカットで見ることができるけれども、いやらしさや不快感がほとんどないのは(人による)照明と映像美のおかげだろう。

近いうちに続編のエンドレスポエトリーを見たい。