ワイルド わたしの中の獣

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狼と人間の禁断の愛を、ときに激しく、ときに氷のように冷徹で透き通った切なさをもって描く……というコテコテでメルヘンチックなものを期待していたが、実際はメンヘラチックな女の人がホームレスになるまでを綴ったなんとも微妙なものだった。

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言葉が通じない以上、人に懐いていたとしても生きた動物を映画に使うのは相当難しいだろう。この映画も編集を駆使しながら無関心と遠慮が見えるただの交流で終わってしまっており、終始なにがやりたいんだと訝しんでしまった。

やはり、ムツゴロウさんのような真性でないとフィクションといえども動物と心は通わないものなのだろうか。運命の出会い、と答えるシーンですら、心に響くものは皆無だった。

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また、展開等に不自然なほど省略された部分があるのは編集なのかわざとなのか? 監督が尻フェチなのは確定として、奇跡の海みたいな痴呆じみたキャラへ主役を変貌させたのも謎。

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主役の人はときどき尋常じゃないくらい美しい顔をしてみせるのは最大の見どころ。とくに、青い目が宝石のように映る場面は素晴らしかった。

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解釈を丸投げしたようなラストはこの映画ならアリ。死んで終わりとか食われて終わりみたいなのじゃなくて本当によかった。なお、エンディング曲は唐突にドイツらしい真っ当なテクノが流れ、場違いを通りこしてさらに不思議な印象を残してくれた。