サンカの真実 三角寛の虚構 - 筒井功

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サンカはかつて日本に存在していた山の民、流浪の人々のことくらいしか知識がなかったので何か本を借りるべぇと思い立って調べたところ、三角寛というのがサンカ研究の大家らしいとわかった。しかし、三角寛の著作は本人の妄想で書かれたフィクションレベルだとの反論があっていよいよよくわからなくなった。

で、見つけたのがこの本。イメージとしてのサンカは山で原始的な狩猟生活を送っていた日本版ジプシー集団なのかと予想していたが全然違った。平たく言うと百姓を手伝うホームレスみたいな存在に近かった。

三角寛の著作では独自の言語や文字があるとか、全国的な組織があるとか、集団をまとめ上げるボスがいるとかあったが、すべて本人の妄想、でっち上げとのこと。作中の写真や年月の矛盾を並べ、やらせ、虚言、創作を暴いた後は三角寛の生い立ちを辿っていく流れに。説教強盗の出目が出てきたのは笑った。

昭和30年代まではサンカは関東だけで5千人程度いたそうだが、稲作の機械化とともに彼らの需要はなくなり、定住して普通の仕事に就きだしたそう。

この本によってサンカに対するロマンが消え失せたのは残念だが、歴史や古代文書などはいくらでも捏造できるものなんだろうなぁと再確認できた。