RATMにもATRにもなれなかった……Fun-Da-Mental

最初にこのアーティストを知ったのは民族音楽をクラブミュージックに落とし込んだ通称バングラビートの流行りを追いかけているときだった。ファンダメンタルの首謀者アキ・ナワズが作ったnationというレーベルのコンピレーションを中古屋で安く買ったのが最初だったはず。

エニグマディープフォレストアンビエント系の曲に怪しげな音階や声、楽器、サンプルを混ぜた雑食の音には旅情があった。黒人にも白人にも似ていない独特なラップはスムースで強力。歌詞は宗教・政治的過ぎてちょっとひいてしまったけど。

残念なことに95年を頂点にnationレーベルは失速していく。替わりに、かつて1stアルバムをリリースし、のちに離脱したあるアーティストだけがどんどんメジャーになっていった。そのアーティストの名はAsian Dub Foundationという。

1998年、ファンダメンタルはようやくセカンドアルバムをリリースする。ブレイクビーツのブームが一段落したこの時期でなければ、せめてあと1年リリースが早ければもっと注目されていたかもしれない。前作よりもよりロック色が増したアグレッシブなサウンドと、お家芸のインド風味にブラックユーモアを混ぜたサウンドに大衆性はなかったが文句なしにカッコよい音だった。