フーリガンが激しく暴れまくっていた時代、マンチェスターユナイテッド等の非公認ファンクラブに同行したアメリカ人ライターが、イングランドの若者たちの無軌道なご乱行の数々(飲酒、暴力、強盗)を記録した本。
この本ではフーリガンは、熱狂的なサッカーファンというよりは、ただの人種差別主義者の暴力大好きな輩として描かれている。贔屓のチームが勝っても負けても暴れ、捕まっても釈放されたらすぐにまた暴れる……といった具合。
他人の試合を見て熱くなること自体は健全な娯楽でしかないが、そこに鬱屈した欲求不満を乗せると、途端にのめり込み方が跳ね上がってしまう。失業保険で食い繋いでいる無職や肉体労働者以外にも、右や左の勢力が加わればそこには政治活動と統率が生まれさらに厄介な集団になる。
スポーツ観戦は、集団で大声を出せる非日常感を味わえるので、スタジアムに通っている人はそこにハマっているのではないだろうか。声援、拍手、鳴り物、音楽を禁止した観戦があれば本物のスポーツ好きが集まると思うのだが、そうすると客は激減するのだろうな。