ブレスレス - 妻を失った男がＳＭにどハマりする物語。ＳＭの啓蒙作品としても秀逸！

以下ネタバレ

冒頭、湖畔の別荘で優雅に過ごす夫妻と幼い娘。妻は一人で池に入ったあと、髪に網や藻が絡まって上昇できず、窒息死する。

時は流れ、妻が死んだときは幼児だった娘も高校生くらいに成長、あいにく美少女ではない。主人公はシングルファーザーではあるが、医者なので高給取りなのだろう、部屋は広く、調度品も高級。娘のために料理も作る。

主人公は寝室で嫁の香水をつけた服を頭から被り、セルフプレジャーに耽るなど今も絶賛トラウマ中であることが示唆される。

あるとき、主人公は娘が舌ピアスを開けるために店へ行くので同行すると、そこはSMクラブも兼業しており、変態プレイ中のM男に触れようとしたところ、女王様から暴力を受けてしまう。首を絞められた主人公にある情景が浮かぶ……

後日、自らSMクラブへ足を運ぶ主人公。調教は順調に進み、犬と呼ばれ、四つん這いになり、言われたままにブーツを舐める。主人公は、精神的なサドマゾ行為よりも、窒息プレイにハマってしまう。なんと、絞められている間は例の湖の水中へトリップし、嫁に再会できるというご褒美が！　

ドＭ欲は際限なくエスカレートし続け、仕事をばっくれて女王様へ会いに行ったり、娘の約束をぶっちしてまで窒息プレイをしたり、挙句死にかけ、病院へ運ばれたりと女王様もすっかりドン引き、ついには出禁処分に。勤務先の病院でも派手にやらかしてしまい、復職のために精神鑑定を受けるハメになる。

一応、他の女ともプレイをしてみるがイマイチ興奮できない……主人公は女王様との首絞めを諦めきれず、ストーカーになってまでプレイを要求する……

てっきり、ヨーロッパ映画にありがちは解釈を丸投げした思わせぶりな意味不明エンドか、死亡か逮捕のバッドエンドになると思いきや、このラストの爽快感はどうだろう！　

調教済みのＭ男としてＳＭサロンデビューを果たし、ダンスフロアで黒いレザーのコスチューム姿でガン踊り！　その向こうには愛しの女王様が！　当初は硬い表情だった女王様も主人公の陶酔した顔に引きずられ、微笑みを浮かべる。カップル誕生である！　素晴らしい。うっかり池袋のＳＭバーへ行こうかと思ったぞ。