ゼロ・トレランス - マラボゥストーク - アーヴィン・ウェルシュ

名作トレインスポッティングのつぎに発表された長編小説。レイプおよびセカンドレイプを取り扱った痛ましい作品。

ベグビーの相棒であるレクソが極悪なサイコぶりを発揮し、胸糞の悪い場面作りに貢献している。

今作は、もしウェルシュ作品の人気投票があったら最下位争いの本命になるのではなかろうか。レイプや凄惨なラストが問題なのではない。物語は、過去・現実・空想のパートを行き来する構成なのだけど、空想の出来がうんざりするほど退屈なのだ。過去と現実は普通に面白いためより落差を感じてしまう。読後は必要以上につかれてしまった。

ウェルシュは時々この手のどうしようもない演出をかます。中編小説集『エクスタシー』の一話目の作中小説、『ポルノ』であったスパッドが歴史小説を書く部分などが該当する。