限界である。私はonenoteへ移行する……
私は使用歴9年目のユーザーである。Evernoteは拡張した脳の一部であり、もっとも深く私の秘密を握っている相棒でもある。大げさな言い方ではなく、Evernoteなしで暮らしている人がこの現代に存在していることが想像できないほど、いや恐怖の対象になるくらい私はEvernote漬けになっていた。
仮に、明日スマホやiPadがなくなったとしても、PCとEvernoteがあればとりあえず問題ない……Evernoteはそれくらい自分にとって重要なものだったのだ。
これまで、さまざまなアプリやサービスを使ってきたが、自分史上で最も酷いアップデートが今回のEvernoteの改悪だ。
過去に、同一アカウントへ接続可能な端末を減らして無料ユーザーを蹴散らしたときはネットでもちょっとした騒動になった。が、プレミアムユーザーにはクソどうでもいいことだった。金を払って使え。月にたった数百円だ。それで解決する程度のもんだ。
ライトユーザーや、タグをつけてなんでもかんでも放り込んで検索でひっかかったものを使用する類のユーザーには今回のアップデートの酷さは実感できないかもしれない。だが、ヘヴィユーザーやハードコアユーザー、さらには死ぬほど使いまくっているダイハードユーザーならば今回のアップデートはブチ切れレベルである。
まず、iPhoneを更新した。Evernoteを開いた。瞬時に気づく。更新前より圧倒的に重い、と。これはすべてのノートを一気に表示させる意味不明な仕様に改悪されたからではないか。数十や数百のノートの場合は知らないが、数千のノートがストックされていると、アプリを開くのにも10秒以上はかかった。
私は設定やオプションの項目を探した。アップデート前の仕様へ変更するような選択肢があると期待したからだ。まさか全てのノートを更新順に開かせるような意味不明な機能しかないとは思わなかった。
なかった。nothing. 没有。
スタックとノートブックで自分なりのデータベースを作っていたので全体がある程度見渡せないと話にならないのだ。検索して目的のノートが出てくればいいってもんじゃない。無秩序だったら困るものを系統立てて分類していたのだ。そこへ辿り着くのになんで毎回階層を開く必要があるのだ?
そしてiOS版のさらなる改悪に気づく。
・いつまでたってもオフラインの同期が終わらない、遅い、されない。
・ノートブックを開くときわざわざ一番端を押さないと、強制的に更新順に開くようになった
・前の画面に戻るのに左上の✔️印を2回押さないといけない
なんという余計なお世話だろう! PCと同じ使い心地にしてくれれば良いのに! しかし、このときはまだ序章でしかなかったのだ。
数日前、突然パソコンのEvernoteが同期されなくなった。左端にどうにも失敗のマークが表示されている。ネットの接続が落ちたのかと思うが、違う。どのサイトにもブラウジング可能だ。おまけにブラックフライデーで買った音楽アプリのデータはずっとダウンロードが進行中。回線の問題ではない。
Evernoteを立ち上げ直してみるが更新されない。iPhone、iPad、AndroidのEvernoteは正常に更新される。新しい文字を打っても同期される。
そこで私はパソコンを再起動するが、やはりEvernoteは更新失敗のマークがついたまま。ガッデム。ネットで検索するとログアウトして入り直す方法があった。なるほどと試す。しかし、更新されず。
Evernoteのサイトへアクセスし、ブラウザ版のEvernoteを開くと問題なし。サイトにもTwitterで検索するも大規模エラーの報告なし。もう再インストールするしかないかもしれない。
Evernoteを削除して再インストールを実行。GUIの変更と、もはや見慣れた一気開きで開く。
ああ、PC版の最新もこの仕様か。
だが、画面の広さがあるしマウスからの操作ならばスマホよりはストレスは少ない……だが、10分も使っているうちにモニターを殴りたくなった。
・消しても消しても復活してくるゾンビのようなノートが出現!!!
・更新したノートブックが複数に増殖する怪異が発生!!!
・すべてのノートを右クリックでまとめてエクスポート(バックアップ)できる仕様がなくなっている。ノートブックを一つずつエクスポートするのはすぐに見つけたが……
あるノートブックが8つに増殖したのを見たときにonenoteへの移行を完全に決意した。消せないノートが出てきたりノートブックが増殖するくらいなら、今後はノートブックやノートが消えることだって起こりかねない。それどころか、更新したノートが同期した瞬間に更新前に戻ることだって起こりえるかもしれない。もはやEvernoteに対する信頼が一気に消えた。
熱心なファンがアンチになる瞬間ってのはこんな気分なんだろうな。
いや、実際はiOS版の使い勝手の悪さに失望した次の週には Googleで
Evernote 移行 onenote と検索していたのだ。毎日頻繁に使っていたものが開くたびにストレスを感じるようになっていたので家と外の二刀流を検討していたわけで。
1Tのクラウドストレージ目当てでMS365(旧office365)に加入していたのでだいぶ前にonenoteは立ち上げたことがあった。ノートブックの扱いの違いに使いづらさを感じてすぐに閉じたが……
とりあえずiOS版をインストールして開いたところ……すぐ開いた! 空っぽだから当然といえば当然だが。文字を適当に打って、ノートをいくつか作って再度開き直しても
軽い! 軽いぞ! 感動だ!
それからEvernoteのノートブックをエスクポート、MSの公式アプリを使ってインポートを繰り返す。
https://www.onenote.com/import-evernote-to-onenote?omkt=ja-JP
使い勝手が悪いと思っていたノートブックの扱いは、ただ自分が使い方を知らなかっただけだった。
onenoteは、いずれかのノートブックを選ぶと階層に入り、ノートブックだけ並んだ最初の階層が表示されない。evernoteは左側にスタック→ノートブック→ノートといったようにすべての階層が表示されるので切り替えの手前がない
→
根本的な勘違い。ノートブック→セクション→サブセクション→ノートで好きな表示に設定できる。セクションがスタックのかわりだ。
・更新したページが一番上にこない
→並べ替えのところから設定可
・ウェブクリップするときのフォントが既定のフォントにならない
→
クリップ前に選択するところはあるが、設定してもノートで確認すると反映されない。クリティカルではないが、游ゴシックで統一したいのだよ
アップデート後にバグが存在するのは仕方ないが、今回のはひどかった。そして使い勝手が悪くなっただけしか印象にない仕様変更。Evernoteで検索すると改悪と予測されるのはちょっと笑ったけど。
そもそもがEvernoteはユーザーにカスタマイズさせない。できてもその範囲はかなり狭い。どんなアプリでも最初の設定のまま使い続ける人も多いだろうが、アドバンスモードでも導入してカスタマイズできるようにするべきなのだ。戻したい時はボタンひとつでデフォルトに戻すような機能くらいつけられると思うのだが。
付け足しまくって高機能化したが死ぬまで使わなそうな機能が盛り沢山とかちっともユーザーフレンドリーじゃない。企業向けとか多機能ヴァージョンを作ってモードを変更できるようにしたり、さらに課金化すればいいのだ。
はっきり言うとEvernoteは昔の機能のままでも全く困っていなかった。それまで自分でフォルダを作ってワードとエクセルとメモ帳でまとめていたようなものが一括でまとめられ、なおかつネットの接続があればどこでも複数の端末で接続可能というアプリの登場には心の底から感激したものだ。スマホとの相性も抜群でこのサービスは月一万円でも絶対に使うと周囲の人に言っていたものだ。ふむ。
まさかEvernoteを使わなくなる日が来るとは……noteではいつもなら短い印象しか書かないのに今回はずいぶん長く書いちまった。