ネタバレあり
タイトル通りである。後頭部に鉄筋が刺さった男の一日が描かれている。
業界にしがみつきたい落ちぶれた広告マンが主役。若かりし頃にコーラの宣伝文句を作ったことの成功体験が忘れられずにいる。独立後は上手くいかず、かつての友人や同僚を訪ねるも、ゲームに夢中で面談すら後回しにされたり、仕事はないとはねつけられたりと散々。
すっかり意気消沈し、美しい妻(なんとサルマ・ハエック!)との思い出のホテルを訪ねるがそこは美術館が建築中のためホテルは取り壊されている。ガードマンに不法侵入を咎められ、逃げている時に工事現場へ落下、後頭部に鉄筋が突き刺さってしまう。
この騒動をTV局やレポーター、かつての同僚、市長、美術館長などを巻き込み事態は大ごとになっていく。脳にダメージを与えてしまうため、鉄筋を切ることも抜くこともできず、現場に医療スタッフを呼び手術室を作るが……
映画としてはキレイに締めた毅然としたラストだけど、現実的にはちょっと納得がいかない。
たかが数分のやりとりのテープをTVで公開するだけで200万ユーロがもらえるなら、死ぬことすら念頭に入れている主役は家族に金を残したいと願うだろう。
おまけに、家族集結前からずっとTV中継されており、プライベートなやりとりすら生中継されていたのだから最後の言葉だけを拒否するのは今更過ぎるという……金以外にもその言葉によって主人公の名声が高まるのなら公開しないほうが不自然というもの。