2024-06-25 贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争 - 吉田 喜重 本 これはなんとも奇妙な本だ。ルドルフ・ヘスの数奇極まる人生の前半を年表の如くこと細かに並び立て、後半の囚人生活を甘美な回想を含めた作者の主観で補完するというもの。ナチスの誕生と隆盛を扱っていても血生臭さはなくその点は肩透かしを食った。どこまでが史実でどの部分がフィクションなのかはわからないが、この本を読む限りではナチスの副総統であるヘスがほぼ善人として描かれているのはどうなのだろうか。なお、作者の吉田喜重(1933~2022)は映画監督。この作品は死の2年前に発表された。