我々庶民にとってはどじょう料理というものは自ら行動を起こさなければ一生無縁なものではなかろうか?
ふだん縁のない三大珍味やバカ高いフランス料理などは、見栄を張った痴れ者や、これくらいはやらにゃと奮発するお調子者のおかげで結婚式でお膳立てされることも多々ある。そう、たまに食べられる印象があるのだ。
そんなわけで、私は先週某有名店へ行ってどぜう鍋を食すことにした。連れは味覚が鈍いくせに口が奢ったおっさん。ほら、居酒屋や食い放題に行くと後先考えず適当に頼みまくって結局残して言い訳がましく「旨くなかった」などとのたまうタイプの男。
んで、ランチタイムを外して14時過ぎに入店。50年前はギャルだったようなウェイトレスに丸と柳川鍋を頼んだ。丸はどじょうが丸ごと入ったもの、柳川は開いて卵とじにしたものだ。
鍋が届いてまず盛大に落胆。小さいんだ、画像で見たよりもずっと。2,000円するのに食べ応えなさそう。まー、希少価値があるってことで味が良ければって期待はまだ残っていたんだけど、火を通して食ってネギと山椒をかけて食ってああ、この程度かって失望。かたや、おっさんは薬味なしで食って飲み込まず、空き皿にペッてやってた。生臭いらしい。うーん、自分は生臭くとは特に思わないけど、パンチは効いてないし、内臓の味がして好みは分かれるだろうってのはわかる。んー、ポン酒を頼んでれば良かったのか?
もう一方の柳川鍋。こいつはツレも気に入ったようだ。甘辛い卵包。ようは、これはただの親子丼味だよ。食いやすいけど、どぜうである必要はないな。
私は自主的に鍋を空にしようとする。そして、心は別のことを、うなぎが旨いのは蒲焼にしたからだろうか、あのタレか。同じタレを焼いたどじょうに塗れば旨いのだろうか、などと。
居酒屋で800円くらいであれば頼むかもしれないが、また2,000円出してまでわざわざ専門店へ食べに行くことはないだろう。今回は経験だ。残念ながら気に入らなかったが良い経験だった。