https://youtu.be/q919tM3WJyo?si=6lKGP1_KxouNTf3d
ジョン・コルトレーンの甥であるFLYING LOTUSの映画初監督作品。FLYING LOTUSは実験系のクラブミュージックとメジャーを繋ぐ稀有なアーティスト。アルバムを出すたびに話題になり、エイフェックス・ツイン並みのゲームチェンジャーでもある。
終始、グロテスクで悪意に満ち、観るものに安らぎを提供しない。目、脳、耳へ、全身の毛穴に問答無用で汚物が侵入する狂ったアート。
生理的嫌悪感をもよおすためにここまでやり切った映画はちょっと例がないのではなかろうか。自主制作ではSlaughtered Vomit Dolls というパーフェクトなキ印作品があるけれども、あれは覚悟さえあれば誰でも撮れるものだ。映画というよりは、ただのフェチ系ポルノ映画でしかなく、金もかかっていない。
残念ながら配信でパソコンの22インチモニターでの閲覧だったが、これが逃げ場のない映画館の大画面大音量で観ることができたら貴重な恐怖体験ができただろう。
日本のカルチャーに詳しく、ビートたけしの映画やアニメも大好きとのこと。そもそも、KUSOというタイトルからしてまともではないが、中身はもっと下品でおぞましいものだ。地震が起こって奇病が流行った世界を描いてはいるものの、ストーリーを追うのはほぼ無意味。わざと嫌悪感をもよおさせる映像や、悪夢をカットアップしたイメージが次々に展開される。CGや過剰なエフェクト処理が多用され、
嘔吐、汚物、排泄物,粘液、昆虫などが満載。
アレハンドロ・ホドロフスキー、ヤン・シュヴァンクマイエルなどのチェコアニメ、レジデンツ、塚本晋也、裸のランチ、イレイザーヘッド、80年代のホラー映画、アブノーマル、オリジナリティ、作家性、前衛、たぶん、8割以上の人はついていけない世界。
レジデンツ風のMVを流しているところに、出鱈目な即興劇が混じるだけとも言えるかもしれない。ウェイキングライフみたいな哲学、形而上学的な言及があっても、深読みするだけ無駄なのだろうな。