まず、作者さんの名前に嫌悪感をもよおした人はこの漫画を気に入らないかもしれません。分かり易くラベリングすると、この漫画はサブカル系に属します。そして、この手の漫画は読んでいて楽しい漫画ではない場合が多いため、好き嫌いがわかれやすくなります。自分勝手な主人公と登場人物、性に奔放でアーティスト気取りがゴロゴロいる世界です。イライラする、気持ち悪い、ありえない、という感想を持つ人がいるのも至極当たり前でしょう。しかし、それは多種多様な趣味や考え方の人がいることにほかならず、良い悪いの問題ではありません。 大学デビューを果たした主人公は女装ゲイAVに出演し、周囲から一目置かれてそれなりに楽しい青春を送っています。まわりの友だちもいかにもな人種がそろっていますが、大学を卒業して働きだすと、同僚や会社の愚痴を言いはじめます。今までは趣味の合う人たちと固まっていればよかったのが、社会に出るとそういうわけにもいかなくなったので愚痴を言ってしまうのですね。 物語の後半、モラトリアムな主人公の変化や描写、人間関係はとてもリアリティがあります。含みをもたした最終話も想像の余地があり、単なるハッピーエンドで終わりません。
