灭の烏

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もうひとつの『異邦人』ムルソー再捜査 - カメル・ダーヴド

これはアイデア賞。小説の書き出しから 

今日、マーはまだ生きている。

ときたもんだ。

カミュの異邦人で、ムルソーが殺したアラブ人の弟が主役という設定はちょっと卑怯すぎる。異邦人が好きな読者なら気になってしまうだろう。

しかし、内容はカミュの転落を意識的に模した語り口とマザコン丸出しの戯言をダラダラ話してるだけ……はっきり言うと内容がないようってやつだ。タイトルにも偽りあり。再捜査すらないんだ。妙なアラブ風味の言い回しとアルジェリアの戦争に参加できなかった代償行為の話が語られるだけなんだな。

自分としては、八つ墓の元ネタみたいなもっとイカれた展開か、作者の妄想全開の後日譚を期待してたのに。