自分でも意外だが、なんと初菊地秀行。有名な作家だし、菊地秀行が原作のアニメですら数作観たことがあったが(YouTubeでだが)今まで一度も手に取らなかったのは、内容が漫画のようなものだと知っていたからかもしれない。
1982年に今作でデビューということは平井和正の影響はあろうとも色々先駆けていたのだとわかる。電脳世界やSFと悪魔の融合は女神転生誕生のインスピレーションの元になっていたかもしれないし、80年代から現在まで続くシリアスタッチのエログロ路線のフォーマットの一つとなっていることは確実だ。
なお、今作は自分のような素人から見てもバランスが悪い。悪すぎる。世界の未来を賭けた戦いにしては規模が小さすぎ、敵も小悪党臭さがまったく隠せていないのだ。ボスには使い魔みたいなのが3体いるだけで、人間の手下はゼロ。ひとりぼっちの切ない革命なのだ。また、作中に散見される一億度とか○万トンみたいなキン肉マンレベルの虚仮威しの数値も笑いを誘う一因となっている。後半、ページ数を稼ぐためなのかごっそり削除可能な回り道があるのもかったるい。
おびただしい数の小説が出ているけど、どれも似たりよったりの悪魔と超能力の戦いなのだろうなぁ、と想像できて今後菊地秀行を読むかは不明。